出会いと別れの季節

 三月に入ったころから、こんど転勤で仙台を離れます・・・と何組かの親子さんにごあいさつをいただきました。病気によっては紹介状も必要なので早めに言っていただくと助かるのですが、つい、え~◎◎ちゃんもなの~、さびしいなあ、と本音が出ます。赤ちゃんの頃からのお付き合いだと1、2年もすれば少し片言も出てくるので、おしゃべりが楽しくなって、外来でのひそかな楽しみの一つです。仙台に引っ越してこられた方、あるいはすっかり大きくなって戻られた方との出会いと再会も四月になって少しづつでてきました。
 
 年度替りは保育所や幼稚園など、初めての集団生活がはじまったり、入学や進級など子どもも大人も緊張が高まる時期ですね。子どもたちの緊張を和らげるのは、身近にいる大人の役割。大丈夫だよとゆったり接してあげることですね。実際は大人だって緊張するのですけれど。
 
 初めて集団に入るお子さんはやっぱり初めはよく熱が出たりします。ひとりひとり体質は違いますが、鼻水が長引いたり、ゼロゼロしたり。体調の悪い時にちょっと長めに通園を休めると本当はいいのですが。とは言え、子どもはなるべくたくさんの人とかかわって育つのがいいです。いろいろな人がいることがわかってくると、自分にも周りの人にも夫々の「自分」があることをいずれ発見していくことでしょうから。そんなテーマを扱った楽しい絵本を見つけました。「おはよう、ぼくだよ」という、おおきくなったら、なにになろうと悩む、森のこぐまが、自分をみつけて大好きになるお話。待合室の本棚にも入れておこうと思います。

 

2012年04月08日 11:21
 
 
 
  震災のあとで

 3月11日からもう二ヵ月半が経ちました。私が生まれ育った故郷も津波に襲われました。それ以来、震災が残したもろもろの事を常に頭のどこかで考えているような日々を送ってきました。
 その間にもいつのまにか春から初夏へと季節は移り変わり、街路樹が緑を濃くしています。いつもと変わらない鶯の鳴声が聞こえ、この時期の野山の美しさに心が洗われます。幼い赤子をみどりごと呼ぶのは、明るいほうへと向かう力、生き生きと育っていく力に共通点があるからでしょうか、あるいはそう願ってのことでしょうか。
 津波で家や家族を失ってしまったもう決して若くはない漁師さんが海を眺めながら、目の前にこんなに豊かな海が広がっているのだから、やっぱり自分は漁に出たい、と話す場面をテレビで見ました。胸がいっぱいになりました。夫々ができることを助け合ってやっていく、それしかないのですね。それで回っていくような社会であればいいのになあ。そうであれば、人間だって、世間だって、まだまだ捨てたものじゃない、信頼していいのかもしれない・・・・
 あまりの格差社会、経済至上主義社会に人間不信に陥りそうな日が長く続きました。夫々ができることをする、私の場合はこれから育っていく幼い人たち、若い人たちの力になれるような仕事や暮らしをしていくこと。あらためて心に刻みました。

2011年05月26日 05:14
 
 
 
  読む力は生きる力

先日、東松島市図書館の主催で児童文学者の脇明子先生の講演会がありました。
岩波書店から出されている「読む力は生きる力」「物語が生きる力を育てる」の著者で「岡山子どもの本の会」を主宰されています。引き込まれた読者の一人だったので楽しみにしていた講演会でした。

内容は示唆に富んだもので、児童文学は一般的な文学とは一線を画するものであることを再認識しました。先生のお話も、子どもたちがよりよく育っていって欲しいとの力強いメッセージがこめられたものでした。

子どもは本来毎日の暮らしの中で自然や人と人の触れあいを通して五感を磨き、現実体験を積み重ねて育ってきました。しかし、人々の暮らしが身近にあって、家族が力を合わせて役割を果たさなければならなかった日常生活は、現代社会の中では大人にとっても子どもにとっても昔とは様変わり。便利になってゆとりが生まれているはずなのに、残念ながら失われてしまったものもあります。

子どもの身近にいる大人が、『良く選ばれた物語』を声に出して子どもたちに読み聞かせることが、まずは大切なこと。子どもたちが普段から知っている人の声や表情を通して聞く物語は、子どもたちを引きつけて、聞く力を養ってくれます。そして聞く力を持った子どもたちは、いずれは自分で物語を読みこなせるようになっていくでしょう、と。脇先生がおっしゃっていることに共感を覚えとても嬉しくなりました。

もしかしたら教室が居心地が悪くて保健室に行きたい子どもたちの何人かは図書室で元気をもらえるのでは・・・・と、ふと思ったのです。子どもの事情に合わせて、そっと上手にその子向きの本が手渡せるような司書さんがいて、その子に物語を読む力があったらな・・・・と。

私自身も本が好きなので、大人へも子どもへも、よく絵本をプレゼントに選びます。先生のお話を聞いて、挿絵が素敵だったり、語り口が自分好みだったり、ついフィーリングで絵本を選んでいたことに気づきました。大人へのプレセントはそれでいいのかもしれませんが、子どもに手渡すものはしっかり吟味して選ぶべきですね。

2010年11月13日 05:01
 
 
 
  小学6年生

小学6年生対象のDTワクチンが始まりました。秋休みを利用しておいでになる親子連れさん、久しぶりの小児科受診でまず驚かされるのがみんな背丈がぐんと伸びたことです。小学校最後の夏休みが終わって、来年はもう中学生です。

そういえば私も急に背が伸びた頃、とても気に入っていた夏のワンピースがいつの間にか着られなくなっていて、がっかりしたことを思い出します。短くなったスカートの裾をいっぱいに伸ばしてもらい、なんとかひと夏着ることができました。ついでに言えば、母の手作りのワンピースはいつも三つ違いの妹とお揃いで、初めの年ははちょっと長めの丈。大きくなっても、もうひと夏着られるように、が、いつもの母の口癖でした。ぴったりなのが素敵なのになぁと子ども心に思ったものです。

これから迎える思春期、自分のことや、まわりとの人間関係、進路のことなど、いろいろ悩みを抱える時期です。手はかからなくなっても、心がかかる?時期です。親も子もいっぱいいっぱいで、先が見えなくなってしまった時などは、親ごさんもご自分の思春期の頃を思い返してみられるといいかもしれません。気持ちにゆとりがでて来ると思います。

こんな時代だからなおいっそう、どの子も健やかな青年に育っていってほしいです。たとえ困難が待ち受けていても、出会いや経験が豊かなほど成長の幅は広がっていくと確信しています。

2010年10月13日 22:53
 
 
 
  休日当番

 年に2、3回、休日当番があり、朝9時から夕方4時まで診療所を開けてます。

 昨日9月5日(日)はそれにあたっていました。夏場なのでそう多い人数ではありませんが、多くは初めて会うおちびさんとその御家族なので、やはりコミュニケーションのとりかたには気を使います。おいでになる方にとっても、それはきっと同じこと。

 普段からかかりつけの先生に相談ができていて、こんなときはどうするかなど話題に上っていれば、あるいは様子見ができるかもしれない・・・・そんな方もいます。正直に言うとそうです。私も心がけねばと反省するところでもあります。

 2、3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱、繰り返す嘔吐、喘息の発作やひきつけなどは急を要します。脱水や熱中症が心配なこともあります。ただ、症状が発熱だけで水分も取れ、機嫌もそう悪くないような場合、涼しくしてゆっくり休ませて経過をみてくださいとお話だけで済ますこともあります。解熱剤を持っていればなおのこと。

 とは言え、子どもに病気はつきもので、急に症状が変わることもあります。普段のお子さんの表情や仕草がわかっていれば、いつもの様子と違うという勘が働きます。お母さんになりたての頃はなかなか大変かもしれませんが、経験を積んでいくうちにきっと身についてきます。そんな経験を積む手伝いができればな、と思います。

2010年09月06日 19:22
 
 
 
  夏の終わりに

朝、目を覚ますといつもと違っていることに気がつきました。
蝉の鳴き声がしません。季節の風情と思えたのはつかの間のこと、時にはもうちょっと後で鳴いてほしいと恨めしいほどだったのが、天候のせいもあるのかしーんとしています。季節の変わり目ですね。

医院に向かう途中では、大きな朝顔の鉢を抱えたお母さんと一年生、何組かとすれ違いました。春にはまだ黄色いカバーのランドセルが重たそうで頼り無げだった子どもたち。あ、学校が始まったんだね、しっかりね。よく遊んで、学んで、ぐっすり眠ってね。心の中で声をかけます。

診察室を訪れる子どもたちもひと夏でぐんと背が伸びたような気がします。
子どもが持つ伸びる力、育つ力を信頼してみたいです。

2010年08月28日 06:53
 
 
 
  診察室の窓から

田沢こども医院のホームページについて相談に乗っていただいている方からのお勧めもあり、この度「ブログ」のページを作ることになりました。
ブログのタイトルは「診察室の窓から」にしました。診察室が私の居場所、なんと言っても長い時間を過ごすところですから。これまではお知らせのところで気になったことなどを書き込んできましたが、もう少し枠を広げて、日々の暮らしや診療にあたっての思い、眼にとまった風景、絵本や本の話題、心にとどめておきたいこと等などを、気負わず、声高にならず・・・ 書き綴ってみたいと思います。

できるかなあ。
細々とでも続けることができれば良しとしよう。

2010年08月23日 07:00
 
 
     
〒981-0911
仙台市青葉区台原2-10-2 アークヒルズ台原2F
TEL (022) 301 - 6355
FAX (022) 301 - 6356